毎月のように頭がズキズキと痛み、ひどいときには何も手につかない。
頭が痛むだけでなく、吐き気もあったり光や音が気になったりする。
このようなつらい頭痛に悩まされている人は多いのではないでしょうか?
もしかすると、その痛みは「片頭痛」かもしれません。
この記事では片頭痛に特徴的な症状について詳しく解説しています。原因や病院での診断・治療、自分でできる対策などについても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
片頭痛とは?
片頭痛は、頭のこめかみあたりがズキズキと脈打つように痛む慢性的な頭痛です。片側が痛むことが多いですが、両側が痛むこともあります。代表的な一次性頭痛(他に原因となる病気がない頭痛)の一つです。
主な3つの一次性頭痛の特徴は下記の通りです。
| 片頭痛 | 緊張型頭痛 | 群発型頭痛 | |
|---|---|---|---|
| 患者の性別・年代 | 20〜40代女性に多い | 30〜50代に多い | 30〜40代男性に多い |
| 頻度・持続時間 | 発作的な痛みが月に1〜2回 数時間から3日程度続く | 痛みが毎日続く 午後から夕方にかけて痛みが増す | 毎年決まった時期に1〜2回 1〜2ヶ月ほぼ毎日 就寝後1〜2時間や明け方に多い |
| 痛みの特徴 | こめかみから目の辺りがズキズキ脈打つように痛む 動くと痛む | 後頭部中心に頭全体が締め付けられるように痛む 片頭痛のように激しい痛みではなく、鈍く重い痛み 動いた方が楽になる | 目の奥にえぐられるような激しい痛みが起こる |
| 合併症 | 吐き気がある 光・音・匂いに・過敏になる | 肩や首筋のこりがセット 眼精疲労 | 顔面が赤く腫れる 涙や充血、瞼の腫れがある |
15歳以上を対象とした全国調査によると、日本人の8.4%が片頭痛にかかっているとされています。性別、年代別では20〜40代の女性に多く、もっとも多い30代女性では有病率が約20%に達しています。
なお「偏頭痛」という表記も広く使われていますが、正式名称は「片頭痛」です。
参照元:日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会監修『頭痛の診療ガイドライン2021』p91
片頭痛の主な症状
片頭痛にはいくつかの典型的な症状があり、診断の基準として使われています。頭痛以外に多様な症状をともなうことが多いのが、片頭痛の大きな特徴です。
ここでは片頭痛の主な症状について順番に紹介します。
日常生活に支障をきたす(中程度以上)痛みがある
片頭痛の痛みは中程度のこともありますが、何もできないほどの強い痛みをともなうことも少なくありません。重度の発作がおこると家庭生活や仕事に支障をきたします。
脈打つように痛む
ズキズキと脈を打つように痛むのが片頭痛の特徴です。
頭の片側が痛む
片頭痛という名前の通り、頭の片側のこめかみや目のあたりが痛むことが多いです。ただし両側や後頭部、頭全体が痛むケースもあります。
動くと痛みが増す
動くと痛みが増すことも片頭痛の特徴です。発作が起きているときに、首を振ったり体を動かすなどして頭の位置を変えると痛みがひどくなるようであれば、片頭痛の可能性が高いと言えるでしょう。
吐き気がする
片頭痛の発作では頭痛と同時に吐き気や嘔吐が生じることが多いです。腹痛や下痢をともなう場合もあります。
光や音が気になる
光や音に対して過敏になるのも片頭痛の特徴です。蛍光灯の光をいつもよりもまぶしく感じたり、食器を置くなどの生活音がいつもよりうるさく感じたりします。特定の匂いを普段よりも不快に感じることもあります。
発作が4〜72時間続く
片頭痛の発作は大体4時間から2〜3日の間続きます。
参照元:「国際頭痛分類第3版」p3
参照元:MSDマニュアル家庭版 片頭痛
片頭痛の症状が起こる前の予兆・前兆
片頭痛には「前兆がない片頭痛」と「前兆がある片頭痛」があり、前兆があるタイプは片頭痛患者全体の約25%を占めています。
さらに近年の研究により、前兆よりも前に予兆と呼ばれる発作が起きていることが分かってきました。
ここでは片頭痛の予兆期および前兆期に見られる症状と、頭痛期・回復期を含めてどのような経過をたどるのかについて解説します。
片頭痛の予兆
予兆は頭痛発作の1〜2日前に発生します。
主な症状は以下の通りです。
- 食欲が通常以上に出る
- 疲れやすい
- あくび・眠気がある
- 集中力が低下する
- 光や音に過敏になる
- 首や肩がこる
- 体がむくむ
片頭痛の前兆
前兆は頭痛発作の直前に生じ、5分から60分程度持続します。
前兆期に起こる代表的な症状が「閃輝暗点(せんきあんてん)」と呼ばれる視覚前兆です。突然目の前にキラキラ、ギザギザした光の波が現れ、それがゆっくり広がったり動いたりします。時間の経過とともに自然に消失しますが、症状が治った後に頭痛が発生します。
また片頭痛の前兆としては、閃輝暗点ほど多くはありませんが、以下のような症状が生じる場合もあります。
- ピリピリ感
- 平衡感覚の消失
- 腕や脚の脱力
- 発話困難
片頭痛の4つの段階
予兆・前兆をともなう片頭痛は以下のような時間経過をたどります。
| 予兆期 | 前兆期 | 頭痛期 | 回復期 | |
|---|---|---|---|---|
| 持続時間 | 数時間〜48時間 | 5〜60分 | 4〜72時間 | 23時間(平均) |
| 症状 | 食欲亢進、疲労感、あくび・眠気、集中力低下、感覚過敏、頸部の緊張、むくみ | 閃輝暗点 | 食欲減退・吐き気・嘔吐、眠気・あくび、光・音に対する過敏、嗅覚過敏、拍動性の頭痛 | 食欲不振、疲労感、気分不定、利尿 |
参照元:MSDマニュアル家庭版 片頭痛
参照元:永田英一朗「片頭痛の予兆期・前兆期,発作末期にみられる随伴症状とその病態」(日本頭痛学会誌,51:131―134,2024)
片頭痛を起こす誘因
片頭痛の約75%には何らかの誘引因子があると言われています。
片頭痛を引き起こす誘因としては、次のようなものがあります。
- ストレス(緩和されたときに起こる場合もあり)
- ホルモンバランス(月経など)
- 睡眠リズム(寝不足、寝すぎ)
- 天候・気温
- 食生活(特定の食べ物、アルコール、絶食など)
- 感覚刺激(光・音・匂いなど)
参照元:日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会監修『頭痛の診療ガイドライン2021』p104-106
片頭痛の診断・治療
頭痛が改善しない場合は、無理せず医療機関の受診を検討しましょう。受診先としては頭痛専門医、頭痛外来、脳神経内科、脳神経外科、総合内科などが考えられます。
日本頭痛学会の認定頭痛専門医一覧などを参考にしてみてください。
片頭痛の診断や治療はどのように行われるのでしょうか。ここでは頭痛外来を受診した場合のおおまかな流れについて紹介します。
片頭痛の診断
頭痛外来でまず行われるのは問診です。「いつ頭痛が始まったか」「頭痛の頻度」「頭痛の持続時間」「頭のどの部分がどのように痛むか」などについて問診票に記入し、その後に医師の問診を受けます。
正しく診断してもらうためには、自身の頭痛について正確かつ具体的に答えられるようにしておく必要があります。普段から頭痛ダイアリーをつけておくのがおすすめです。
問診の後は、二次性頭痛(他の病気が原因の頭痛)の有無を確認するために「画像検査」や「血液検査」「髄液検査」「脳波検査」などを行う場合があります。
片頭痛の治療
問診と検査の結果、片頭痛と診断されたら「生活指導」と「薬物治療」を中心に治療がスタートします。
生活指導では、患者が日常生活の中で頭痛を引き起こしたり悪化させたりする因子をできるだけ避けることを目指します。生活指導だけで頭痛をコントロールできることも少なくありません。
薬物療法には今ある症状を抑えるための「急性期治療」と、頭痛を予防するための「予防治療」があります。
急性期治療では痛みを抑える「鎮痛薬」や「トリプタン系薬剤」、吐き気を抑える「制吐薬」などが使われます。また2022年にはトリプタンとは異なる作用で痛みを抑える「ラスミジタン」も承認されています。
予防治療では「抗てんかん薬」「抗うつ薬」「ベータ遮断薬」「カルシウム拮抗薬」などが使われます。2021年からは予防薬として新たに「CGRP関連抗体薬」も一部で使用されています。
その他、非薬物療法として「認知行動療法」「バイオフィードバック」「理学療法」などが行われる場合もあります。
片頭痛の症状が出たときすぐできる対処法
ここでは片頭痛の発作が起きてしまったときに自分ですぐできる対処法について紹介します。
暗く静かな場所で休む
片頭痛は光や音、動くことによって痛みが増す場合が多いです。発作が起きたら暗い静かな場所で横になって休みましょう。
痛むところを冷やす
片頭痛の発作時には血管が拡張して痛みを引き起こします。痛む場所に冷たいタオルや保冷剤を当てることで、血管が収縮し痛みが和らぐことがあります。
カフェインが入った飲み物をとる
カフェインにも血管を収縮させる効果があります。痛み始めたときにコーヒーやお茶などカフェインを含む飲み物をとることで、痛みが緩和される可能性があります。ただし飲み過ぎは逆効果なので注意しましょう。
鎮痛薬を使う
頭痛が起きたら早い段階で鎮痛薬を使用すると効果が高まります。片頭痛専門の薬は市販されていないので、処方された薬がない場合は一般的な解熱鎮痛剤を使うことになりますが、なるべく薬剤師に相談することをおすすめします。その際は今の症状や頭痛以外の持病、服用している他の薬の情報を伝えましょう。
なお薬を使いすぎると「薬物乱用頭痛(MOH)」を起こすおそれがあるので注意が必要です。
日常生活でできる片頭痛の予防法
片頭痛の対策では日常生活を改善することも重要です。規則正しい生活をこころがけ、発作の引き金となる要素を避けるようにしましょう。
日常生活で気をつけるポイントは以下の通りです。
ストレスをためない
ストレスは片頭痛を悪化させます。ストレスから解放された週末に発作が出ることも少なくありません。
趣味の時間を持つことや友人や家族と過ごすことで上手に発散しましょう。ゆっくり湯船に浸かったり、腹式呼吸や瞑想を行ったりするのも効果的です。
生活リズムを整える
睡眠不足は片頭痛につながりますが、逆に睡眠時間が多すぎても発作を起こしやすくなります。6〜8時間を目安に自分に合った睡眠時間を確保し、なるべく毎日決まった時間に寝起きするようにしましょう。
適度な運動を心掛ける
痛みがないときに適度な運動をすることは、頭痛予防に効果的です。ウォーキングやストレッチなど、無理のない範囲で定期的に体を動かしましょう。
頭痛体操を取り入れるのも一つの方法です。
光や音、匂いなど強い刺激を避ける
強い光や騒音、強い匂いは、片頭痛の引き金になることがあります。自分の頭痛を引き起こす誘因がわかっている場合は、なるべく避けて生活しましょう。
光対策としてはサングラス、調光レンズの眼鏡、帽子などを使用し直射日光を避けることが有効です。またスマートフォンやパソコンから放たれるブルーライトは頭痛を誘発・悪化させるので、長時間の使用はひかえましょう。
食生活に気をつける
空腹による低血糖は、血管の急激な収縮や拡張を通じて片頭痛を引き起こします。1日3回規則正しく食事することが大切です。
また食品によっては片頭痛発作の誘因となったり、逆に防止に役立ったりする場合があるので注意しましょう。
片頭痛を起こしやすい食べ物
| 食品 | 片頭痛の誘因となる成分 |
|---|---|
| 赤ワイン | アルコール、ヒスタミン、チラミンなど |
| チーズ | チラミン |
| チョコレート | フェニルエチルアミン、カフェイン |
| 柑橘類 | 酸、フラボノイド |
| 加工食品(ソーセージ、ハムなど) | 亜硝酸ナトリウム、硝酸ナトリウム |
| 乳製品 | チラミン |
| うま味調味料 | グルタミン酸ナトリウム |
| 人工甘味料 | アスパルテーム |
片頭痛を防ぐ食べ物
| 食品 | 片頭痛を防ぐ食べ物 |
|---|---|
| ほうれん草、アボカド、ナッツ類、ひじき、ごま | マグネシウム |
| 緑黄色野菜、全粒粉穀物 | ビタミンB2 |
| バナナ | トリプトファン |
まとめ
片頭痛は、20〜40代の女性を中心に多くの人が苦しんでいる、代表的な慢性頭痛です。
片頭痛の症状には、以下のような特徴があります。
- 日常生活に支障をきたす痛み
- 脈打つように痛む
- 頭の片側が痛む(両側や後頭部が痛む場合もある)
- 動くと痛みが増す
- 吐き気がする
- 光や音が気になる
- 発作が4〜72時間続く
片頭痛が発生するメカニズムは明らかになっていませんが、今のところ「三叉神経血管説」が有力です。またストレスやホルモンバランスの乱れなど、さまざまなことが誘因となって発作を引き起こします。
頭痛の発作が起きたときはここで紹介した対処法を試すとよいでしょう。
ただし改善しない場合は無理せず、頭痛外来など医療機関を受診することをおすすめします。
また生活リズムを整えるなど、日常生活を改善することも大切です。

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